『家守綺譚』
梨木作品を読むのもこれで4作目となった。
この『家守綺譚』は、これまで読んだ 『西の魔女が死んだ』 、 『りかさん』 、 『からくりからくさ』 とはチョット調子の異なる作風であるように感じた。
売れない文筆家・綿貫征四郎が亡くなった友人・高堂の実家の家守をする日常が淡々と何事も無いように描かれる。ただ、綿貫の過ごす日常は少し異常だ・・・。
掛け軸からは亡くなったはずの高堂が時折訪ねてくる。庭のサルスベリには意思がある。庭には河童も来れば小鬼も来る。狸や狐や川獺にばかされる。いつしか居ついた飼い犬のゴローはなんとなく高尚さを醸しだしている?。散歩をしていて異界に迷い込む。
それにしても、このぬるさはなんだ!? 梨木さんの筆致にかかったら、妖に包まれた世界も和みの世界となってしまう。
静謐な清んだ空気感・・・、『家守綺譚』、『百鬼夜行抄』、『蟲師』、『しゃばけ』、『陰陽師』・・・・・、皆どこかで連なっている・・・?
そうそう・・・、最終話「葡萄」で、湖底の幽明への誘いに対して綿貫が、「理想世界は、私の精神を養わない」といって敢然と拒否する姿勢を描いた場面・・・、ここは唸った(ハードボイルドだ。。。)。