『モロー博士の島 他九篇』 | 本だけ読んで暮らせたら

『モロー博士の島 他九篇』


『モロー博士の島 他九篇』 H・G・ウェルズ/著, 橋本槇矩・鈴木万里/訳,岩波文庫(1993)


第1刷が発行されたのが1993年らしい。本作をあまり書店で見掛けた覚えはなかったのだが,今年になって第7刷が発行されたらしく,たまたま遭遇。で,購入。


2か月ほど前に読んだのだが,この記事を書くにあたって目次を見返してみた。9篇の短編の題名を見てその内容を思い出せるのは表題作を含めて2,3篇だが,冒頭部分を読み返すと全作思い出すことができる。記憶の断片が残ってた??・・・ってことは,2か月前私はこの本をかなり面白く読めていたってことなんだろうな・・・。


表題作の「モロー博士の島」は,昔よく深夜放送(?)で見たB級映画の印象が強い。この原作を読んだ際にも映像が浮かんだ。


巻末では,『ロビンソン・クルーソー』や『ガリヴァー旅行記』といった冒険ユートピア小説とこの「モロー博士の島」を比べていて,先の2作がダーウィン以前であったのに対し,「モロー博士の島」がダーウィン以降であることにより,決定的な違いが生じている,と解説されている。この解説もなかなか面白かった。