『崩れ』
この作品,数カ月以上前に読んだもの。
地質学・防災学の専門家の方から,本書の存在を教えてもらった。
70歳を過ぎてから,山や河川上流域など日本各地の土砂崩壊現場や火山を直接見に行き,そこで感じたモノ・コトをレポートしたのが本書。
そのレポート内容は,文学者である著者独特のエモーショナルなものとなってる。
職業上,自然災害に関するレポートを目にすることはあるが,それらは科学的,技術的な見地から書かれたものがほとんどである。
ノンフィクション作家によるレポートも散見するが,文学者の視点で描かれた自然災害レポートは希少だ。
幸田文という作家が,このような内容のものを書いていたなんて全く知らなかった。
老体にムチ打ち,日本各地の土砂崩壊現場にわざわざ出向いて行ったのはなぜなんだろう?どんな動機があったのだろう?そこが一番知りたいところである。