『特捜部Q 知りすぎたマルコ』 | 本だけ読んで暮らせたら

『特捜部Q 知りすぎたマルコ』

7月だったか8月だったかの夏休みの間に読んでた本。今頃になって・・・。
その夏休み中,カミさんからは家中に溢れかえった本を何とかする手立てを考えろと言われていた。
ほんの少しだが,あらたな収納場所を思いついた(カミさんからは処分しろと言われているが・・・)。
だが,結局実行には移せず。 それで少しでも紙の本を減らせれば良いと思って購入したのがkindle。
最近のポケ・ミスは,紙版が店頭に並んでから,その1カ月遅れで電子化されるので,そちらを購入して読めばいいのだが,以前からのシリーズものはどうしても紙版で購入してしまう。電子版ポケ・ミスを購入するのは,単独モノの作品か新たなシリーズモノでなければならない。
この「特捜部Q」シリーズは,本棚にすでに4作も並べてあるので,当然のことながら紙版となる・・・。


『特捜部Q ―知りすぎたマルコ―』  ユッシ・エーズラ・オールスン/著, 吉田薫/訳, ハヤカワ・ポケット・ミステリ(2014)


それにしても「特捜部Q」シリーズも,もう5作だ。 ずいぶん早いペースで翻訳されている。人気シリーズなんだろうな。


過去4作の記事 → 『檻の中の女』  『キジ殺し』  『Pからのメッセージ』  『カルテ番号64』



では,まずは本作の概要紹介。


身寄りのない子供たちを支配下に置いて,物乞いやスリ・窃盗などの犯罪を行わせている男,ゾーラ。クランと呼ばれる一族の首領。

ゾーラが支配する犯罪者集団の中で育ったにも拘わらず,15歳の少年マルコは他の子供達とは違っていた。社会や自分たちとは異なる市民生活に関心を持ち,知性の片鱗を垣間見せるマルコに対し,いつしかゾーラも警戒感を抱くようになっていた・・・。


特捜部Q=未解決事件を扱うコペンハーゲン警察の一部所。

特捜部Qメンバーは,責任者のカール・マーク警部補,そして,カールのアシスタントにアサドとローセ。わずか3人の弱小部署だが,これまでの4作で難事件を解決してきた実績を持つ・・・。


その特捜部Qが取り組むのは,外務官僚の失踪事件だ。捜査を進めて行くうちに,この失踪事件の背後には,アフリカ援助のための公金に関わる大掛かりな横領事件が見え隠れしだしてきた。さらにそこにはゾーラ率いる犯罪組織の影・・・。


事件のカギを握るのが,ゾーラの組織から逃げ出したマルコ。

ゾーラの悪事を告発すべく,マルコは何とかして特捜部Qに接触しようとするが,組織に追われながらコペンハーゲン市内を逃げ回る。

一方,カール・マーク警部補たちもマルコの存在に気づき,彼の保護と事情聴取を図ろうとするが・・・。



いつものQメンバー3人の存在感は相変わらずだ。

社会性の強いシリアスな事件を背景としつつも,キャラ立ちまくりの3人。

それにも増して本作では,強烈な個性を持つ4人目のキャラが登場した。 少年マルコ。

マルコが,知性と勇気を駆使しながら,ゾーラ一味の追及をかわしながらコペンハーゲン市内を逃げまわり,さらには逆襲に転じる・・・。 マルコ主演のサスペンス小説と言っても良いくらい,マルコがキャラ立ちしてる。



物語のプロットといい,事件として取りあげる題材といい,ユッシ・エーズラ・オールスンという物語作家の腕前はホントたいしたものだ。凄い。

なによりも,魅力的なキャラクターの創作技術が素晴らしい。


マルコ,レギュラー化するか? 


お薦めです。