『ローマで消えた女たち』
連続殺人、魂の悪、記憶の移し、などをテーマ(?)としたゴシック・サスペンス小説。
カトリック=ヴァチカンの秘密捜査機関の捜査官とも呼ぶべき教誨師(きょうかいし)が主人公。
しかもこの主人公、記憶を失っている。
記憶を失っていながらも、犯罪現場や証拠品や事件関係者との接触から何かを感じ取る能力に長けており、教誨師としては一流・・・・・。
サブ主人公に、ジャーナリストの夫が謎の転落死を遂げたミラノ県警の写真分析官。
連続殺人犯を追う主人公とサブ主人公は、物語の中盤まで出会わない。
物語中盤以降、二人が交錯しだしてから真実が徐々に明らかに・・・・・ならない。
物語はより複雑化してゆく・・・・・。
連続殺人犯を追っている(?)のは、主人公たち二人以外いもいる・・・。
しかも、物語のかなり早い段階で連続殺人犯は拘束される。しかし、被害者家族の周辺で起こる別の殺人・・・・。
解けたようで解けていない謎の連続。
一見解決したかのように見える事件の背後に見え隠れする主人公以外の教誨師(?)の影。
教誨師は、自分以外の教誨師の正体を知らない・・・。
物語の最初の文章 「七時三十七分 死体は目を開けた。」
から、
510ページあとの締めの文章 「七時三十七分 死体は目を開けた。」
まで、
この長編小説に一切の弛みはない。
2段組み500ページの長編小説を一気読み。
久しぶりのミステリだったが、これが大当たりだった。 超大当たり! 今年のベスト!
前作、 『六人目の少女』 といい、本作といい、この作家の才能は素晴らしい。
お薦めです。
だが、訳題はイタダケない。
原題を素直に訳した『魂の裁判所』の方が相応しい。