『市民のための景観まちづくりガイド』 | 本だけ読んで暮らせたら

『市民のための景観まちづくりガイド』


『市民のための景観まちづくりガイド』 藤本英子/著、 学芸出版社(2012)


最近、まちづくりに関する本を幾つか読んでいるが、どの本にも成功した(と云われている)まちづくりの事例が具体的な都市名を挙げて紹介されている。

事例紹介に多くのページを割くということは、まちづくりというのはオーダーメイドであって、すべてに共通した理屈や理論などというものは無いってことなんだろうと思っている。

「良いまちづくり」とは何か?ということを一般化することはできないってことだ。


本書は、「景観」にスポットを当ててまちづくりを行おうとするときのガイド本、日本初のテキストだと銘打っている・・・・・。


本書を読んで気になったところをメモっておく。


■本書の著者は、小樽運河を観光資源としたまちづくりについてポジティブに捉えている。

 だが、別の本の著者は、観光客の増加は観光会社とタイアップした一部の店舗(寿司屋ネ)だけが

 潤っているだけで、大方の近隣住民には関係のないことであり、彼らは別の店に行っているという。

 「まちづくり」とは、そもそも地元住民の幸福度をアップすることが目的だとすると、小樽の例は

 成功事例と云えるのか? 疑問に思えた。


■本書で挙げている景観評価指標について、工学屋の私にはどうにも客観的だとは思えない・・・。

 <本書でいう景観評価指標8コ>

  ・周辺景観との調和を図っている

  ・地域特性(自然・風土・歴史・文化)を活かし、地域性のある景観をつくりだしている

  ・緑化・オープンスペースなどにより、潤い・ゆとりのある景観をつくりだしている

  ・住民が参画し、親しまれ、誇りを持てる景観づくりが進められている

  ・良好な維持管理が図られている

  ・活力を生み出す景観をつくりだしている

  ・優れたデザインにより新しく魅力ある空間をつくりだしている

  ・町並みの形成に貢献している

 

ん~? ↑ こういうのを指標っていうのか??



で、本書も含めてイロイロ読んでみて・・・、

結局、まちづくりの専門家がキチンと全体をコントロールすることの実現性はあまり大きくなくて、多くの普通の住民・生活者が少しづつ長期にわたって関わってゆくことが大事だってコトなんだろうか!?

それじゃ、専門家の役割ってなんなんだ?ファシリテーターか?

専門家の関わりが低いってことは、それだけ成熟した社会なのか?

                              ・・・・・・なんてコトを漠然と考えちゃう・・・・・。