『エデンの黒い牙』
- DARKER THAN YOU THINK (1948)
『エデンの黒い牙』 ジャック・ウィリアムスン/著 野村芳夫/訳 創元推理文庫(2007)
60年も前の作品の初訳だそうです。
幻想文学史上最も危険な傑作だそうです。表紙をめくってすぐの要旨にそう書いてありました。
確かに、ミステリでもなけりゃ、ホラーともファンタジーともSFとも云えなかった。
解説の荒俣宏大先生は、ホラーファンタジーの傑作と云っておられたが・・・。
アメリカではカルト教団の聖典にもなったとか? ホントかよ?? ヘンな国だ!?
人類学者モンドリック博士が弟子3人と供に空港に到着するところを待つのは、この作品の主人公で新聞記者のウィル・バービー。
モンドリック博士達は、ゴビ砂漠で人類史を書き換える大発見をしたことを、帰国直後の空港で記者会見する予定だ。
博士達一行の到着を待つウィル・バービーは真っ白な毛皮のコートを着、黒猫を抱える絶世の美女エープリル・ベルに出会う。彼女も駆け出しの新聞記者だと言う。
航空機の到着。そして、会見直前、モンドリック博士は突然の怪死を遂げる。
モンドリック博士の突然の死とエープリルの挙動・・・・・ウィルはエープリルに疑いを抱く。
その後ウィルは、モンドリック博士の妻であり、かつては博士の助手でもあった盲目の老女ロウィーナにより、“エープリルに近付くな”、“人類が危機に直面している”との奇妙な警告を受けることになる。
また、モンドリック博士の弟子であり、ウィルの友人達でもあるゴビ砂漠調査団のメンバー達は、研究所を要塞化し、そこに篭りきって一切の情報を外部に出さなくなる。
モンドリック博士達の研究とは? ゴビ砂漠で彼らが発見したものとは? ウィルが、人狼、ルー・ガルーを意識したとき・・・・
読み出した当初は、なんだかヘンなのに手を出しちゃったぞ・・・という感じだったが、中盤以降は結構入り込んだ。
・・・が、終盤に向かうにつれ、展開や物語構成のパターンに少し飽きがきてしまった。エンディングも中途半端なような気がして、私には少し物足りなかった。
ホモ・サピエンスvsホモ・ライカントロプスの種族の生存をかけた戦いが読みたかった・・・。