『脳と仮想』 | 本だけ読んで暮らせたら

『脳と仮想』


『脳と仮想』  茂木 健一郎/著  新潮文庫(2007)  (2004年初出)


読みたくて読みたくてしょうがなかった本。

単行本で出版された当時はこの本の存在を知らなかった。評判のピークが過ぎた頃に知ったため、自宅や職場の近辺の本屋では見掛けなくなっていた。中古本屋でも見かけなかった。それがやっと文庫化された。。。


我々は、遙か彼方の宇宙や星、現実ではない想像の世界、そして過去や未来をイメージすることができる。

わずか1リットルの容積しか持たない物理的存在としての脳。その物質としての脳の内で活動するシナプスやニューロンの過程もまた物理的現象である。

・・・にも拘わらず、そこで生起される意識・心は、脳という有限の空間から、そして時間的な限定からも解放された存在である。


我々の意識・心に浮かぶ仮想にはどうやら限界はないらしい。。。

我々は、無限の仮想世界と、有限の現実世界を生きているのだと言う。



イヤー! さすがに評判になっただけの本である。非常に判りやすい。面白い。

科学書というよりも哲学書に近い内容の部分も多かったような気もする・・・・・、もっとも、この著者に限らず、最新の脳科学を研究する学者の多くは哲学的な物言いをすることが頻繁であるように思える。。。


書きたいことはもっとたくさんあるのだが、どうも巧く表現できない・・・ので止めとく・・・・・。


兎にも角にも、この本の内容は極めて明瞭・明解だ。しかも感動モノの美文。名言の宝庫でもある。

おそらく今後何度も読み返すことになると思う。

こんなに面白い本がたったの460円で買って読めるんだから、現在の日本は本当にイイ国だ、と、こういう時ばかりはしみじみと感じてしまう。


力を込めてお薦めします。