『ねにもつタイプ』 | 本だけ読んで暮らせたら

『ねにもつタイプ』


『ねにもつタイプ』    岸本 佐知子/著、 筑摩書房(2007)



通勤の電車の中でのこと。たまたま運よく座れたので、鞄から取り出して読み始めた本がコレ。

クックックックッ・・・顔がにやける。プルプルプル・・・・・腕が震える。

隣に座る女性が目だけをこちらに向けている・・・たぶん。ハッキリとは見ていないが雰囲気で感じる。目の端に見える。恐らく怪訝な顔をしているのだろう。

笑いを堪えながらしばらく読み続ける。腕の震えが大きくなり、それが上半身全体に広がりだしていく。私から発せられる振動が隣の女性にも伝わってしまう。。。ダメだ。。。立ち上がり、車両の端に移動する。


この本を読んだ一日は朝から実に幸せな気分でオフィースの自分の机の前に座っていた。仕事をしながらも、車中で読んだ1節を思い出してしまい、込み上げそうになる笑いを抑え、顔をほころばせながらデータをインプットしていた。データ・・、きっと間違いだらけなんだろうな。誰かにチェックしてもらわなければ・・・。



この著者、恐るべき記憶力の持ち主である。子供の頃の情景をハッキリと脳内に映し出し、それを昨日のことのように描く。私と歳が近いせいか?育った地域がさほど違っていないせいか? 著者の子供時分の出来事や情景を、私の脳内にもある程度再現することができる。それだけに余計可笑しく感じてしまうのかもしれない・・・。


しかし、この著者、記憶力以上にすごい(というか、凄まじい)能力を備えている。

妄想力・・・。

その力たるや、ハンパじゃない。


妄想力全開で綴られた文章は抱腹絶倒ものだ。

ツボに入ったら最期・・・、覚悟したほうがイイ。 できれば他人の居る所では読まないほうがイイ。


お薦め。お奨め。かなりのお勧めです。