『宗像教授異考録 第五集』
この第5集には3つの物語。
■道成寺
古事記-垂仁天皇の皇子ホムチワケ、ヒナガヒメ、大蛇(オロチ)、海人族、髪長姫、安珍清姫伝説、藤原氏一千年による皇室支配、道成寺・・・・・、宗像教授を介して母と娘が結ばれる物語。
■複合遺跡
磐船(いわふね)-天磐船(あまのいわふね)。ニギハヤヒという神はそれに乗って河内に来たといわれる。・・・宇宙船、UFO。
鉄-隕鉄。物部氏(もののべ氏)-武士(もののふ)の語源となった古代の豪族で武闘集団。物部氏のあるところに鉄(武器)あり。
物部氏の祖先神こそ“ニギハヤヒ”であり、天磐船とは宇宙から落下してきた隕石(隕鉄)のことである、としたら・・・
超高速で飛来する流星を、古代日本では「速日(ハヤヒ)」と呼んだとしたら・・・?
こんな問題提起・推理が、何故か弘法大師空海と繋がる物語になる。
■虫めづる姫君
常世(とこよ)の虫=アゲハ蝶の幼虫
記紀神話に登場する“非時(ときじく)の香実(かぐのみ)”=常緑のタチバナ
アゲハ蝶はタチバナの木に卵を産み、幼虫を葉で育てさせる。
昆虫学研究室の院生で虫好きの女性と宗像教授の出会いが、昆虫学と民俗学を結ぶ!?
1番目と2番目の話は100ページ程度の中編で、この長さの物語を描かせたら、星野氏は抜群に巧い。いわゆる起承転結を上手く構成し、おまけに余韻まで残す。
3番目の話はわずか22ページ程度の短いものだ。“昆虫”というめずらしい題材を使ってチョット物悲しい話に仕上げている。宗像教授シリーズ中では変り種の物語だ。
【 いままでの 星野 之宣 作品関連記事 】
■ 宗像教授異考録 第四集
■ 宗像教授異考録 第三集
■ 宗像教授異考録 第二集
■ 宗像教授異考録 第一集
■ 宗像教授伝奇考
■ 巨人達の伝説