『日本列島は沈没するか?』
西村 一、 藤崎 慎吾、 松浦 晋也/著、 早川書房
『日本沈没』・・・小松左京氏が描いた空想科学小説。
私が子供の頃に発表されたこの物語は映画化もされたし、テレビドラマ化もされるほどの人気を博した。現在もリメイク映画が公開されている。
日本列島が位置する太平洋西域は、ユーラシアプレート、北アメリカプレート、フィリピン海プレート、太平洋プレートがせめぎ合う、地球の大活動地帯である。
ユーラシアプレート、北アメリカプレートの下には、太平洋プレートとフィリピン海プレートが潜り込んでいる。ユーラシアプレートの上部は安山岩主体の大陸地殻が、太平洋プレートとフィリピン海プレートには玄武岩主体の海洋地殻が乗っかっている。ちなみに、それぞれの地殻の下にはマントルがくっついていて、地殻とマントルが一体となって動いているものをプレートと云う。
この大陸地殻と海洋地殻を構成する安山岩と玄武岩は比重が異なる。玄武岩に比べて安山岩の方が比重が小さい。ようするに軽い。マントルは主にカンラン岩で構成されていて、これは安山岩や玄武岩よりも重い。
つまり、大陸地殻<海洋地殻<マントルの順で重い。
くどいようだが、日本列島の東の海域では、ユーラシアプレート(大陸地殻+マントル)の下に、太平洋プレート(海洋地殻+マントル)が沈み込んでいる。重いマントルと海洋地殻が沈み込み、一番軽い大陸地殻は浮いている。これが昔からの、そして現在の日本列島近傍の姿であり、自然な状態である。
そんな自然な状態で浮いている日本列島を沈没させるのは、いくら大規模な地球ダイナミクスでも大変だ!
日本列島が沈没するようなことが、本当にあり得るのか?
この本は、最新の地球科学の知識を動員して、あるいは、最新の地球科学でも不明な点は想像力で補って検証する(?)内容のものである。
私自身は、日本列島が沈没するくらいのこと、地球のダイナミクスからすれば容易にあり得ることだと思っていた。
しかし・・・、日本列島“だけ” が沈没するようなことはないのでは? 日本列島が沈没するほどの大異変だったら、朝鮮半島だって、台湾だって、中国大陸の沿岸域だってタダでは済まないだろう? という気がしていた。日本が沈没するときは、全地球規模で異変が起こっているだろう!? と思っていた。
・・・で、日本列島を無理なく沈没させるメカニズムとは?
■第一部 フィクションとしての沈没・洪水物語
■第二部 小説に使える(かもしれない)地球科学
■第三部 検証、日本沈没 -フィクションはどこまで正しいか?
■第四部 そして日本人はどこへ
という四部構成の本書。
主題である疑問は第三部で解明される(?)
第四部は、地球深部探査船「ちきゅう」とか、マントルまでボーリング掘削するための方法とか、地球シミュレータとかの簡単な説明。
お薦めです。 (リメイク映画 『日本沈没』 を見る人は、この本を読む前に観た方が良さそう・・・かな?)
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