「スモールワールド・ネットワーク」 | 本だけ読んで暮らせたら

「スモールワールド・ネットワーク」

スモールワールド・ネットワーク―世界を知るための新科学的思考法

ダンカン・ワッツ/著、辻竜平・友知政樹/訳、阪急コミュニケーションズ



規則性とランダム性、構造と主体、戦略ときまぐれ、この世の中のすべての事象や人々の思考と行動は、これらの間にあります。たぶん。


我々の普段の言動は、白と黒など、両極端の間を揺れ動きます。対立する様々な利害関係のバランスを図りながらグレーな部分を選択しているのだと思います。

良識ある一般のほとんどの人たちは、↑このようなことを無意識のうちに理解していて、日常の言動に反映させているのでしょう。


それにしてもなぜ、我々は無意識のうちにそのような選択が出来るのでしょう?

“まー、それが経験ってもんさ”、“大人だからネ”で片付けてもイイのですが、もう少し理屈つけて考えてみたい・・・。

しかし、このような理屈を考えるのは簡単ではありません。考えるのって、面倒だし・・・・。普通の人たちにはチョット無理ですよネ(少なくとも私には無理です)。


このような無意識の知識や知恵について、系統立てた理屈にすることの出来る人達、また、それらを簡易で判り易い言葉や文章にして表現できる人達がいます。


その限られた人達の1つのグループが「学者」だと思います。この人たちは私たちに代わって“理屈”を考えてくれます。日常では意識していない、または隠れている世の中の動きや自然の理(ことわり)を発見する人たちです。


もう1つのグループには「作家」と呼ばれる人達がいます。フィクションでもノン・フィクションでも、詩でも小説でも、普段なんとなく漠然と感じていることを明瞭な形にしてくれる人、作品の中に“アッ!これだ”と思わせてくれる一文・一言を書ける人、そういう人たちが一流の作家なのだと私は理解しています。


「学者」と呼ばれる人たちの中には、発見した“理屈”を明瞭に表現してくれる人達もいます。「作家」としての役割も担う人達です。ここまでいくと超一流の「学者」です。



というわけで(ナゲ~前置きだ)、この本の著者、ダンカン・ワッツ。もともとは数学か物理学出身の社会科学者です。

一つ一つは単純な事象の結合が複雑に絡み合ったときにどのような現象を生じさせるのか、“ネットワークの科学”という新しいアプローチによって世界の仕組みの一部を明らかにしようとする野心的な科学者の1人です。


“ネットワークの科学”とは、個々の振る舞いが、どのように集合的な行動に影響を及ぼすのか? といったことの理屈を解明しようとするものらしいです。

例えば、

     送電ネットワークにおいて一箇所の断線がなぜ大規模な停電に繫がるのか?

     一部の地域で発生した病気がどのようにして世界中に蔓延するのか?

     一匹のコオロギの鳴き声が他のコオロギの鳴き声とシンクロするのはなぜか?

     個々の分別のある投資家、その投資戦略がなぜバブルを生じさせるのか?

     地球上の誰もがほんの6人の隔たりだけで繫がっている、というスモール・ワールド仮説の奥深さとは?

などなど、を解明しようとする科学です。


実はこの本、まだ読み終わっていません。半分くらいです。なかなか進まないのです。

内容的にはチョー・オモシロそう、“複雑系”関連か? と思って手に取りました。読み始めてみて感じたのが、最初に述べた青字の部分です。つまり、この本の原著者なのか訳者なのかは判りませんが、表現者としてはチョットな~、てな感じなのです。ダンカン・ワッツ、「学者」としては一流かもしれないけど、「作家」としては3流だぞ!


内容はオモシロそう、それが判っていながら、読みづらくてなかなか前に進まない。もどかしい本なのです。


同じような内容(だと思わせる)?別の本、『複雑な世界、単純な法則 ~ネットワーク科学の最前線~』や『SYNC なぜ自然はシンクロしたがるのか』も面白そうなので、そっちに換えようかな、とも思っているこの頃です。


まとまりのない文章ですみません。表現力3流だぞ! 俺!