『ボルヘスと不死のオランウータン』 | 本だけ読んで暮らせたら

『ボルヘスと不死のオランウータン』


『ボルヘスと不死のオランウータン』  ルイス・フェルナンド・ヴェリッシモ/著、 栗原百代/訳、 扶桑社ミステリー(2008)

本格ミステリの部類に入るのではないかと思う。メタ・ミステリでもある。

カバー裏の作品紹介では、衒学的文芸ミステリーとも云っている。



このミステリ作品のキーワードは、エドガー・アラン・ポー、ラヴクラフト、ボルヘス。

いずれも一筋縄ではいかない作家・・・・・らしい。


ミステリの世界でオランウータンと言えば、ポーの代表作 『モルグ街の殺人』 だろう!?

たまたま 『モルグ街の殺人』 を含む幾つかの作品を光文社古典新訳文庫で読んだことがあったが、それ以外のポーの作品など、ほとんど読んだことがない。ましてや、ラヴクラフトやボルヘスなど・・・・・・。


そんな、ラヴクラフトもボルヘスも読んだことのない私が、はたしてこのようなミステリを読んで楽しめるのか? はたまた理解できるのか? しかも探偵役は、そのボルヘスだ。

チョイと心配・・・・・。 


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まァ、なんとか大丈夫だった。ミステリとしての本筋に関しては、あらかたの意味は判った(と思う)。

だが、やはり、細部までは理解できなかった。主人公であり、本書の語り手でもあるブラジル人作家と探偵役のボルヘスとが交わす文芸論・作家論・作品論にはさすがに付いて行けなかった。
文頭で挙げた3人の作家の作品を読んでいるのといないのとでは、おそらく味わえる面白味に大きな差が出てくるのではないかと思う。


ということで、本作は、“海外文学上級者”向きのミステリ。