『汚れた7人』 | 本だけ読んで暮らせたら

『汚れた7人』

The SEVENTH (1966)
『汚れた7人』  リチャード・スターク/著、 小菅正夫/訳、 角川文庫(2008)  
                                      (初版は、なんと1971年だと!)


たぶん10年以上前に読んだきり、久しぶりの「悪党パーカー」シリーズ。

この作品は、シリーズ第7作だそうだ。初めて読む。


クライム・ノヴェルの範疇に入るのかな。初期の。


フットボールの入場料として集まった現金を7人の悪党達がまんまと強奪する。

ほとぼりが冷めるまで、主人公パーカーが隠し持っていることになった現金。犯行から3日後、パーカーがほんの10分程度外出した間に、パーカーの女の家から現金がそっくり盗まれる。女は胸を剣で突き刺されて死んでいる・・・。


現金の盗まれ方があっさりし過ぎているし、盗んだ犯人もあまりにも・・・で、なんのヒネリも見られないが、コレはこれでアリという気もしないでもない。ラストの“1万6千3百ドル”にはパーカーと一緒に私も笑わせてもらったし。

総じて、可もなく不可もない。

例えるなら、140kmの速球を投げるピッチャー。150kmオーバーの剛速球ではないが、そこそこのピッチャーといったところ。

・・・などと云えるのも、クライム・ノヴェルがそこらにゴロゴロ転がっている現代の水準に照らし合わせてみてのこと。

このシリーズの第1作、The Hunter (悪党パーカー/人狩り) が出たのが1962年のことだそうだから、当時としては、圧倒的な悪党を主人公に据えた小説として、そのオリジナリティは高かったのだろう。


何はともあれ、パーカー・シリーズの他のも読みたくなってしまったことは確か。ドートマンダーも。