『逸脱者』 | 本だけ読んで暮らせたら

『逸脱者』

 CRITICAL SPACE (2001)


   

『逸脱者』  グレッグ・ルッカ/著、 飯干京子/訳、 講談社文庫(2006)



ボディーガード、アティカス・コディアックを主人公とするサスペンス/アクション小説の第5弾。
このシリーズの第3弾 『暗殺者(キラー)』 の実質上の続編。
ちなみに第4弾  『耽溺者(ジャンキー)』 は、このシリーズ中の登場人物で、アティカスの恋人であり、私立探偵のブリジット・ローガンを主人公としたスピンオフ作品。

で、この作品、3部構成。
第1部は、このシリーズの従来の設定(すなわち、アティカスらボディーガード・チームが、何らかの驚異-大抵の場合は危害を加えようとする人間である-、に晒されている依頼人を、その驚異から守るというプロット)を踏襲していた。

シリーズ第3弾 『暗殺者』 の続編、と書いた。・・・ってことは、あの女暗殺者“ドラマ”が登場する。アティカスらは、世界有数の暗殺者ドラマの影に怯えながらも、依頼人を守るミッションに挑む。

と、ここまではイイ。


ところが、第2部以降、正確には第1部のラストから、物語の様相はガラッと変化する。

どう変化するかというと・・・、一言で云えば荒唐無稽。

私には、プロットの大胆な展開と、その状況設定がいまひとつ納得できなかった。その状況に引きずり込まれたアティカスの心情にも、この物語のもう一人の重要な登場人物にも、ほとんど共感できる部分がなかったのである。

しかも、読み進むうちに、100ページを残してこの物語のおおよその結末の予想が付いてしまった。この状況設定では、あのようなラストしかあり得ないのではないかと・・・。あるいは、このシリーズを終わらせるしか。。。


主人公、登場人物に感情移入できない。。。理解できない。。。

そのせいで、第2部、第3部は、ず~っと憂鬱な気分で読んでいた。読むのを止めればいいのに・・・でも、物語自体は面白いから、そして、ラストが気になるから止められない。


ラストはほぼ予想通り。

この先、このシリーズは、アティカスは、KTMHチームは、ブリジットは、どうなってしまうんだ!?



著者であるG・ルッカ自身でさえ、この作品は読者に総スカンをくらうかもしれない、と覚悟していたそうだ(訳者あとがきより)。

アメリカでは、次作が出版されるまでに、それなりの時間が掛かったそうだ。そりゃそうだろう・・・。著者でさえ、シリーズのこの先の展開について、どう書いたらイイか?かなり迷ったのではないだろうか??


総スカンをくらうか否か、それは次作次第のような感じがする。。。



この作品について、他の人の評価も聞きたい(読みたい)です。





【アティカス・コディアック シリーズ】

第4作 『耽溺者(ジャンキー)』

第3作 『暗殺者 キラー』

第2作 『奪回者』

第1作 『守護者 キーパー』