『夜 愁』
- THE NIGHT WATCH (2006)
- 『夜 愁』 サラ・ウォーターズ/著 中村有希/訳 創元推理文庫(2007)
時代背景をヴィクトリア朝時代に置いたサラ・ウォーターズの 『荊の城』 と 『半身』。これらは「ゴシック」という言葉がピッタリなミステリー作品であった。これら前2作は多分に純文学的な方向にも傾いていたが、エンターテイメント側にも重心を残していた。
しかし、今作『夜愁』にはエンターテイメント性が無い・・・とは言わないが、限りなく薄い。
舞台は第二次世界大戦中とその直後である1947、1944、1941年のロンドン。
主要登場人物は4人の若い女性と1人の青年。
起伏に富んだプロットがあるわけでもない。
夜ごとドイツ軍機からの爆撃を受けるロンドン市内において、登場人物たちが過ごす戦時下の日常が語られるだけである。
ただ、登場人物たちは様々な悩みと思いを抱えている。4人の女性達のうち3人が同性愛者であり、青年にもその気配が伺える。
この作品、ミステリーとは云えない・・・ような気がする。
ミステリーだと思って読むと挫かれる。 私は挫かれた。。。