『エンジェル エンジェル エンジェル』 | 本だけ読んで暮らせたら

『エンジェル エンジェル エンジェル』


『エンジェル・エンジェル・エンジェル』   梨木 香歩/著   新潮文庫


高校生のコウコが、ほとんど寝たきり状態の(時折調子の良い時は起き上がることができる)祖母さわの深夜のトイレ当番を、母に代わって引き受けることとなる。その代わりといってはなんだが、かねてから飼いたかった熱帯魚の購入を許されることとなった・・・。

熱帯魚の入った水槽は、祖母が休む部屋の一続きに、以前祖母が使っていたサードテーブルに置いている。

熱帯魚の水槽を置いたその夜から、夜中のトイレに行く時間帯だけ祖母の意識が明瞭となることに気付いたコウコ。しかし何故か、祖母は少女のような反応と口調を示す・・・。


今日、さわの家に祖母が今年一番の新茶を持って尋ねてくるという。女学校から帰宅するなり、開口一番、手伝いのツネにさわの大好きな‘ばばちゃま’の来宅を確認する。

さわは大好きなばばちゃまと一緒に新茶のおすそ分けに教会のシスターを訪ねる。

女学校では尊敬する翠川先生や同じクラスの山本さんの言動になぜかばばちゃまとの類似性を感じる・・・。


奇数章では、コウコ視点で、夜中にだけ覚醒する祖母さわチャンと熱帯魚の様子が語られる。

偶数章では、さわ視点で、ばばちゃまや女学校でのあこがれの教師やクラスメートの様子が語られる。


最終章。コウコの前で、はらはらと涙を流しながらさわちゃんが吐露する心情によって、奇数章と偶数章がリンクする。


読者によって、連想する事柄や照らし合わせる経験は様々だろう。梨木作品を読んだ後に湧き出す感覚は人それぞれ、いろいろに想うことができる。。。


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