『読者よ欺かるるなかれ』
- The Reader is Warned (1938)
- 『読者よ欺かるるなかれ』 カーター・ディクスン/著、 宇野利泰/訳
- ハヤカワ・ポケット・ミステリーNo.409 (1975年再版モノ)
(最近の私にしては)珍しくも、いわゆる本格モノ探偵小説を読んだ。以前、タイトルに釣られてブックオフで105円で購入したものの、積読状態となっていたポケミスである(上の画像は文庫版)。
この作品以前に、カーター・ディクスンあるいはジョン・ディクスン・カーを読んだのは、それが何時だったのか忘れてしまったくらい遙か彼方昔のことで、内容はもちろん、読んだ作品名すら記憶していない。ただ、チョットした怪奇趣味の入った作風だったような覚えがあるだけだ。
ヨーロッパにヒットラーやムッソリーニが台頭し、イギリスでもその余波を受けている、という時代背景。
テレキネシスで人を殺すことができると吹聴する男の言葉通りに二人の人間が死ぬ。
その事件の真相を、ロンドン警視庁ハンフリー・マスターズ警部を従えた陸軍情報局総裁ヘンリー・メリヴェール卿が解く、というもの。
主人公の探偵役が、陸軍情報局総裁というのも、時代の風潮や影響を受けているのだろうか???
どうやらシリーズものらしい?
で・・・、正直、あまり面白くなかった。
この先どうなるんだろう!?という、ワクワク感が出てこないまま読み終わってしまった。
読みながら感じていた 「どうせ・・・・・だろう。」 という予想から大きく外れることのないストーリー展開であったことも一層面白くないものにしてしまった。
このテの本格モノには、やはり意外性がなければダメだ。
この作品が出版された当時の人たちにとって、ミステリー作品など大して多くはなかった頃としてみれば面白かったのかもしれない。しかし、これだけミステリーが出版されている今の時代では、いつかどこかで読んだような既視感があって、いただけなかった。
20年前に読んでいれば、私にとって新しかった・・・かもしれない。 読んだ時期を間違えた。。。