『読書の腕前』 | 本だけ読んで暮らせたら

『読書の腕前』


『読書の腕前』  岡崎 武志/著  光文社新書(2007)



教養を高めるためだけに本を読む。実用書・ビジネス書しか読まない。仕事でしか読まない。・・・こういう人たちには、著者が何を云っているのかまったく判らないかもしれない。 


この本自体、“読書論”として読んでは面白くない。この本から何かを得ようとして読むのでは価値を半減させてしまう。著者がどのように楽しんで本を読んでいるのか、それを興味本位で読めばイイのだと思う。


章構成は ↓ こんな感じ。

  1. 本は積んで、破って、歩きながら読むもの
  2. ベストセラーは十年後、二十年後に読んだほうがおもしろい
  3. 年に三千冊増えていく本との闘い
  4. 私の「ブ」攻略法
  5. 旅もテレビも読書の栄養
  6. 国語の教科書は文学のアンソロジー
  7. 蔵書のなかから「蔵出し」おすすめ本

1章が最も面白い。積読(ツンドク)も、同じ本の二度買い・三度買いも許されると云ってくれている。

かなり共感できる。著者の本に対する異常なまでの想いに感心してしまう。


4章の「ブ」攻略法もなかなかだ。「ブ」というのはブックオフのこと。著者は、いちいちブックオフと書くのも面倒なほど、頻繁にブックオフという単語を含む記事を書くことが多く、省略するようになったとか。近くの「ブ」を1週間に1度とか、1ヶ月に1度廻ることを「パトロール」というのだそうだ。私もパトロールを良くするので笑っちゃう。


6章と7章もイイ。近現代日本文学のチョットしたガイドとしても読める。こういう作家の、こういう本が面白い、ということを紹介してくれているようだ。日本文学など読んだことのない私でも読みたいと思わせてくれる。


とにかく、全編を通して本と読書に対する愛情で溢れている。読んでいるこちらまで楽しくなってくる。



暇さえあれば読む。何処でも読む。いつでも読む。ただただ読む。そうすれば、そのうち、その人ナリの読み方が自然に身に付くはずだ。

・・・というより、別に本を読む“腕前”とか“読み方”なんてどうでもイイのだ。ひたすら本を読んでいる人たちはそんなもの気にしてはいないはずだ。
呼吸をしたり、食事をしたりするのと同じように本を選び、買い(借り)、読む。 (時には収集もする?)

すべては楽しみのために。。。暇つぶしのために。。。



(この本は、ブログ 「本の世界の迷子です」のhonyomi-worldさん の記事に触発されて読みました。ありがとうございました。)