『科学書をめぐる100の冒険』
田端到+佐倉統/著、 本の雑誌社
大学に勤める現役の科学者(佐倉氏)と、もともとはエンターテイメント系記事のライター(田端氏)が、いろいろな科学書を採り上げ、それらの本についての感想を語るという内容の本。
採り上げられているのは、DNA、脳、心、進化論、人間の行動、生命操作、宇宙・極地、動物・生態系などに関する本。あるいは科学そのものや科学者について論じられた本。
いずれの本もその道の専門ではない一般の人たちを対象にしているものばかり。
著者2人の会話形式 “専門家と素人の科学漫才” で書かれており、非常に読みやすい。
採り上げた本によっては、必ずしも2人そろって褒めることもなく、異なる意見、異なった受け取り方をしていることが正直にそのまま書かれている。
科学者である佐倉氏が面白いと思っても、科学者ではない一般人代表の田端氏にとっては面白く感じられない本があったり・・・、
田端氏が関心するような判りやすい説明をしている本であっても、専門家である佐倉氏から見ればイイカゲンな説明だとされる本があったりする。
そういう意見の割れる本ほど読んでみたくなる。
選ばれている科学書は初心者向けのモノばかりで、普段、科学書などは読まないという方、読みたいけど何から読んでイイか判らないという方にはモッテコイのガイド本だと思う。
エセ科学マニアの私としても、こういう科学書のガイド本というのは嬉しい。
【追 記】
紹介されている本の一例を挙げておきます。
『ダ・ヴィンチの二枚貝』 スティーブン・ジェイ・グールド/著、早川書房・・・進化論の本です
『DNAのらせんはなぜ絡まらないのか』 ニコラス・ウェイド/編、翔泳社・・・遺伝子の本です
『女と男のだましあい』 デヴィット・M・バス/著、草思社・・・行動生物学の本です
『進化と人間行動』 長谷川寿一/長谷川眞理子/著、東京大学出版
『マッチ箱の脳(AI)』 森川幸人/著、新紀元社・・・人工知能、脳の本です
『養老孟司・学問の挑発』 日系サイエンス/編、日本経済新聞社・・・脳とコンピュータの本です
『共感覚者の驚くべき日常』 リチャード・E・シトーウィック/著、草思社・・・共感覚の本です
『ヒトはなぜ、夢を見るのか』 北浜邦夫/著、文春新書
『快適睡眠のすすめ』 堀忠雄/著、岩波新書
『銃・病原菌・鉄』 ジャレド・ダイアモンド/著、草思社・・・私も読んでいます(笑)
『生き物をめぐる4つの「なぜ」』 長谷川眞理子/著、集英社新書
『神への挑戦』 毎日新聞社・・・生命操作の本
その他、100冊以上の本が紹介されています。