『気候変動 +2℃』 | 本だけ読んで暮らせたら

『気候変動 +2℃』

気候変動 +2℃   山本 良一/編集、 Think the Earth Project/編、 ダイヤモンド社

「地球温暖化」という言葉が定着してから、だいぶ経つな・・・。


ヒトの文明が急速に発展しだしたのが、1万年前とか1万2千年前とか云われており、この間、地球の気候変動は非常に小さかった、ということだ。こんな状況は、地球45億年の歴史の中でも極めて稀だそうだ。

だから、ヒトという高等生物が増殖したんだろうな?


このまま、ヒトという種を少しでも長く生き永らえさせるためには、この現在のラッキーな地球の環境・気候をできるだけ維持する必要がある。

「持続可能な発展」・・・できるか、否か・・・、その成否が、あと数十年のうちの人々の行動にかかっている!?


何故、気温上昇を+2℃以内に抑える必要があるのか? 

“ポイント・オブ・ノーリターン” =引き返すことができなくなる時点。

気候システムの強大な熱的慣性のために、+2℃以上気温が上昇すると、負のスパイラルに落ち込み、気温はますます上昇する。そうならないための限界点が、+2℃、なのだそうだ (平均で2℃。だけど、極地方や高地ではもっともっと変動は大きい) 。

イギリスのブレア首相は、Point of No-return があと7年後に迫っている、と言っている。


さて、この本の最大のウリは、“地球シミュレータ(=日本の海洋研究開発機構にある世界トップクラスの並列スーパー・コンピュータ)”による気温上昇予測を、100年先までの時系列マップとして表示していることだ。

“地球シミュレータ” による1950年~現在までの気温変化の再現計算と、現在~2100年までの気温変化の予測計算結果を3年ごとに世界地図上に描いてみせている。それを右ページに配置し、パラパラめくってみる事によって、地球の連続的な気温変化が判る。


左のページには、「地球環境に起こった歴史」、「地球の平均温度が1℃、1.5℃、2℃、3℃、5℃、と上昇した場合に予測される地球へのインパクト」、「未来を変える取り組み」が説明されている。



●地球環境に起きた歴史

例えば、1900年~現在までの地球環境に関するエポック・メイキングとして、次のようなことが説明されている。


  ■大気中の二酸化炭素に温室効果があることが発表されたのが1896年であったこと

  ■人間の産業活動が二酸化炭素を増大させ、地球を温暖化させていることが発表されたのが

    1936年であったこと

  ■大気汚染との戦いが始まったのが1950年代前半

  ■地球観測時代が幕開けたのが1950年代後半

  ■ローマクラブによる“成長の限界”が発表されたのが1970年代初頭

  ■南極上空のオゾンホールが発見されたのが1980年代前半

  ■リオデジャネイロでの地球環境サミット、京都議定書の議決が1990年代


そして、2000年代初頭、全世界で異常気象による被害が目立ち始めてきた・・・・・。



●温暖化インパクト

気温が1℃上昇すると・・・・、2℃上昇すると・・・、3℃上昇すると・・・・、5℃上昇すると・・・、その予測は悲劇的だ。

ただ、この本で表示されている気温変化のシミュレーション結果は、ひとつのシナリオに過ぎない。

シミュレーションで仮定している気候モデルが異なれば、結果は当然異なる。

編集者は、そのことをチャンと説明しているし、この本で行っているシミュレーションの問題点や適用限界についても言及している。

だからこそ、読者(私)も、この本の内容を真摯に受け止めることができる。



●未来を変える取り組み

いろいろ紹介されているけど、私は何にもしていないナ・・・。何かするか!?

「打ち水大作戦」 とか、 「100万人のキャンドルナイト」 に参加するとか・・・、まずは身近なことから、と、この本でも云っている。




このまま、なんの対策もせずにいると、2026年~2060年のどこかで2℃を突破するといわれている。


お薦めです。読んでみて。