『巨大地震の日』
高嶋 哲夫/著、 集英社新書
この本の主タイトル、最近の新書のタイトルとしては、まあまあだ(内容に誠実なタイトルだ)。
しかし、サブ・タイトルは少々いただけない。この本の内容は、いろいろな機関から発表されている情報を要領よくまとめて提供しているのであって、命を守るための具体的な方策についてはほとんど提案されていないからだ。
ともかく、人気のある災害エンターテイメント小説(こんな分野があるのかどうかは知らないが・・・)の書き手が、新書という形の啓蒙書を出版することは歓迎だ。
内容的には、さして新しいものはないが、それでも、こういった情報をことあるごとに、しつこく出版することがメディアの役割の一つでもある(と思う)。そこに人気作家が加わってくれれば、なおさら良い。
“目からウロコ!!”のような発見は余り無かったが、ひとつ収穫(気になったこと)があった。
以前、この著者のフィクション 『M8(エム・エイト)』 を読んだときの私の感覚 を、やはり、この著者も持っていたことが判ったことだ。
“2004年8月、東京直下型地震をテーマにした『M8』を出版した。執筆にあたり、東京都防災会議が1997年に発表した被害想定を記した資料を大いに参考にさせていただいた。しかし、書きながら、『どうも違う』という思いが拭いきれなかった。とりあえず近い数字を使ったが、今となっては後悔しきりだ。”
↑ この一文を読んだときは、勝手ながら 「我が意を得たり!」 という感じであった。
地震・津波、火山噴火などに対して政府などの公的機関が発表する楽観的過ぎる被害予想・・・、この著者が云いたいことは・・・、「そいつはチョット違う」。
私が日ごろから感じていたことを人気作家が云ってくれた。