「パソコンによるシミュレーション物理」
矢部孝、灌山正見、椛島成治/著、 朝倉書店
流れを支配する方程式をコード化(プログラミング)し、コンピュータによる数値シミュレーションを楽しむ方法を説明する本です。どちらかというと専門書の部類に入るかもしれません。
私がこの本を選んだのは、研究業務で流体計算を行いたかったためでした。しかも、あまり難しい本を読むことなく。この本はマアマア簡単な部類に入るように感じられました。
ところで、その研究業務は期限が限られていたため(ま~、当然のことですネ)、私の能力では期限内に流体計算を用いた成果を提示することができませんでした。結局、この本から得られた知識をいっさい使うことなく、別の観点からのアプローチによる成果を提示することで業務を終了しました。
業務上の成果は出せなかったものの、この本は私にとって非常に有益です。
今でも、いつか、この本に書かれていることを業務の一部に使ってみたいと思っています。
この本では、流体計算法を応用して、
■ 回転する星間ガス雲の収縮・分裂と連星系の誕生
■ 星の衝突・合体・分離・連星の形成
■ ロジスティック方程式のカオス解分岐
■ ローレンツモデル式(水の熱対流を表す方程式)のカオス的挙動
などについて、コンピュータ上で再現することができるように手解きしてくれています。
注目すべき点は、巻末にBasicやFortranによるプログラムが付録として掲載されていることです。
普通、このテの本ではプログラムまでは掲載していないことが多いのですが、この著者は惜しげもなく公開してくれています。しかも、Fortranで・・・。
最近ではC系(C++など)の言語によるプログラムの方が多いかもしれませんが、これまで私が使ってきたり、改良してきたプログラムはもっぱらFortranだったため、この点で、大助かりでした。