『直観でわかる数学』 | 本だけ読んで暮らせたら

『直観でわかる数学』

直観でわかる数学

 畑村洋太郎/著、岩波書店


話題の本です。数学の物理的・現象的側面を簡易に解説した本です。

数式というのは一種の言語ですから、それが解らない場合は別の言語(日本語や英語)や図や絵に変換してみて、脳の別の部位を使って考えてみるのが、理解を早める一つの方法だと思います。

この本では、図や絵による説明方法を多用しています。私自身は、こういった方法は、本来、数学を学ぶ上での本道のはずだと思っていたのですが、このような本が売れているということは、本道の学び方・教え方ではないのでしょうか?


ま、とにかく、学生時代ちゃんと勉強した理科系の人が読む本ではありません。

日常で数学なんかまったく必要としない人が気まぐれで読んだり、学生時代勉強しなかった理系の新社会人や、これから理科系に進もうとする高校生が読んだりする本だと思います。


・・・などと云いながら、普段、仕事で数学を使うことも多い私が読んだのは、自分の基礎学力に自信がなかったからです・・・。もしかしたら、自分にも基礎数学が解る様になるかな? なんて、相も変わらず虫のイイことを思ったからなのでした。



さて、この本の中身ですが・・・、

著者はさすがに本質を突いてきます。

うん、うん、と頷いてしまった箇所がいくつかありました。その中でも次の一文は最も頷き角度が大きかったものです。

「微分方程式の細かな解法を覚えることなどたいした意味をもたなくなる。むしろどんな数値計算法を使ってコンピュータに解かせるかということに頭を使う方が、はるかに重要になってくる。」


まさに、“仕事で数学を使う”というのは、よほどの研究者でない限り、このようなことなのです。


(これから数学を本気で学ぼうとする方へ、誤解の無いよう、補足しておきますが、

 それでも、ヤッパリ、基礎は大事です。間違いなく!!