「日本恐竜探検隊」 | 本だけ読んで暮らせたら

「日本恐竜探検隊」



著者: 真鍋 真, 小林 快次
タイトル: 日本恐竜探検隊  岩波ジュニア新書


恐竜化石発見のきっかけ、クリーニング(化石のまわりに付着している岩を取り除くこと)の大変さ、一見した際にどんな種類の恐竜なのかおおよその仮説を立てること、他の化石や既往論文などとの比較・分析、論文を書き投稿すること、または世界各地の研究会で発表すること、などが発見された各現場の化石ごとに章立てされています。

第1章の“恐竜とはなんだろう”を最初に読んで、恐竜の「分類群」を理解したら、あとは、各章が独立しているので、どの章から読んでもかまいません。

読み終わっての感想ですが・・・
最近の日本の恐竜研究もがんばっているんだナー、と思いました。
それと同時に、なんとなく寂しさも残りました。
というのも、日本以上に、世界、特に中国からは、恐竜をはじめとする古生物に関する新たな発見・発表が相次いでいるように思われるからです。

恐竜化石等の発見には絶対的に不利な状況にある日本国内の現場にあって、世界中の恐竜好きのアマチュアを驚かせるような発見や発表は難しいと云わざるを得ません。もちろん、専門家の間では、日本国内で発見された化石やそこから得られた知見等に関する価値は認められているのでしょう。しかし、子供をはじめとし、アカデミックな知識を持たない素人達を驚かせるだけのインパクトのある発表が日本からあった、という記憶が私にはほとんど無いのです。
そのために、日本国内の恐竜を研究することに対して、ジミな感じが否めないのです。別に、ジミな研究がいけないのではありません。必要なことでさえあると思います。
しかし、今度、国立科学博物館で(レプリカが)展示される、“ティラノサウルス・スー”のような、スーパースター的な恐竜化石が国内で発見されれば、一躍、日本の恐竜研究も飛躍すると思うのです(・・・でも現実的には、日本での発見の確率はメチャクチャ低いだろうなー・・・)。

もっとも、日本国内の恐竜にこだわらず、世界に出て行って研究をしている人達には、全然心配するようなことではないかもしれませんが・・・


(追 記)
一晩経過して、考え直しました。
日本の恐竜を研究するということは、恐竜研究や古生物学研究のごく一部なのであって、それだけを行っているわけではないですね。

この本自体は、日本産出の恐竜化石に焦点を当てているのであって、世界中で産出されている恐竜化石の研究をしていないわけではありませんネ。

 前言撤回です。

“ジミな研究”の積み重ねが、やがて革新的な学説にたどりつくこともあるでしょう。