「進化しすぎた脳」 | 本だけ読んで暮らせたら

「進化しすぎた脳」



著者: 池谷 裕二, 長崎 訓子
タイトル: 進化しすぎた脳 中高生と語る「大脳生理学」の最前線  朝日出版社

養老孟司さんの「唯脳論」を読んで衝撃を受けてから、“脳”の話って好きなんですよネ。
いきなり脱線しますが、この「唯脳論」、かつて読んだ科学系啓蒙書の中で、衝撃度ランキング2位の本でした。ちなみに1位は「利己的な遺伝子」です。

んで、この「進化しすぎた脳」を読んでの感想ですが、・・・
まったくもって、うらやましい。
なにがって、この本の著者、池谷裕二氏です。
難解なことや最先端の研究内容を、高校生にも分かりやすく伝える能力を生み出す脳を持っているのですから。

池谷氏の説明相手でもある高校生達。彼らもまた優秀です。最近数学の世界で起きた大きな変化・・・「複雑系」・・・という用語を瞬時に発する高校生というのは、私から見れば優秀すぎです。池谷氏の説明を理解し、その場で質問を返す能力。彼らの脳の中では、講義を聞きながら、シナプスの結合が生じているのでしょう。

で、本の内容ですが、濃いです。メチャメチャ面白いです。評判のことだけはあります。
全ての中身を紹介することはできませんが、私の脳に最も強くインプットされたのは次のことでした。

  ■正確無比な記憶は役に立たない。応用できないから。
    応用できないものは覚えてもしょうがない。

  ■後で応用するために覚えなければならない有用な情報は、
    抽象化・一般化・汎化する。

  ■その汎化をするために、脳はゆっくりと、あいまいに情報を蓄える。

  ■ゆえに、人の脳は、あいまいにできている。


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