「遺伝子と運命」 | 本だけ読んで暮らせたら

「遺伝子と運命」

「遺伝子と運命  夢と悪夢の分岐点」 ピーター・リトル/著、美宅成樹/訳、ブルーバックス  講談社

著者: P・リトル
タイトル: 遺伝子と運命

  

2020年夏、ジェーンとジーンという二人の女の子が生まれた。生まれたばかりの二人はそれぞれDNA検査を受けた。その後の二人の人生は、遺伝情報の利用の仕方とその判断によってまったく異なる方向に進むことになる・・・

                                                          

1章に、二人の女の子の対極的な人生を描き出します。

2章から9章には現在までに科学的にわかっている遺伝子や遺伝子変異(この2つの言葉の違いを理解することが重要)についての説明があります。

そして10章では、9章までの知識をつかって、1章での物語の内容のうち、どこまでが実現可能でどこからが不可能なのかを、再びジェーンとジーンの人生に関わって見直ししていきます。

最後の11章で、“遺伝的運命”についての著者の見解を述べています。                 

                                                            

DNA、遺伝子、ゲノムなどに関する知識については、正直言って、翻訳である本書よりも、日本人が書かれたずっとわかりやすい他の本があると思います。

しかし、この本のお奨めポイントは違うところにあります。

                                                                            

そのお奨めポイントとは、DNA、遺伝子、ゲノムといった究極の個人情報の扱い方や利用方法に関するシミュレーションを行っているところです。                   

                                                             

個人の能力や性質的な多くの部分が、生まれつき遺伝的に決定されているということは本書でも述べられています。しかし、もしかしたら先天的なこと以上に、その後の遺伝情報の扱い方や判断の仕方・され方によって、人生が変わるかもしれないということです。

                                                         

各種ある遺伝子・DNA関連の本の中で、その情報の扱いや利用の仕方に関して述べている本は、私にとっては初めてでした。その点は新鮮でした。

(この内容を述べるにはページ数が多すぎるような気もしましたが・・・)